横浜市三渓園 「鶴翔閣」復原修理

概要

 横浜三渓園はJR根岸線の山手駅の南東1.5kmに位置し、地形の起伏を生かした大池や睡蓮池、東西の名建築築を移築配置した、回遊式の庭園である。
 この庭園を造営し、文化財となる名建築を移築した原三渓が自邸として新築したのがこの「鶴翔鶴」である。ここには横山大観や下村観山といった作家たちが滞在し、創作活動に当たっていたと言われる。創建年次については、資料等の分析により明治42年とされた。修理前の建物は屋根がひどく破損し、雨漏り等により木材の腐朽も進んでいたが、主体構造がしっかりしているので再利用は可能と判断し、横浜市の迎賓施設として整備することとなった。

旧原家住宅の活用計画・修復設計・監理等

 古書、写真等の記録によりこの建物は3度に渡って改造されたと判明したが、特に改造が大きく、縮小され瓦葺きの「楽室棟」は古写真にある創建時の特徴的な大きな茅葺き屋根の姿に復原された。
 古図面等残っていなかったため、古写真資料の分析とそれに基づく発掘調査等により「楽室棟」の大きさ、柱位置を得て復原図を作成した。小屋組等は古写真の姿、解体時の痕跡等から類推した。「茶の間棟」、「書斎棟」は解体時に柿葺き材が残存している範囲があったので新規に柿材で葺き、復原した。
 構造的には建築基準法施行令に基づく耐力を有しており、設備は冷暖房、空気調和設備、防災設備を設置している。
 この建物は茶会など日本的文化活動の場としてはもとより、国内外の大会議、レセプション、パーティーなどに対応する「利用できる横浜市有形文化財」として整備、復原された。

敷地面積:4,346.54㎡、建築面積:1,036.43㎡、延床面積:965.62㎡
発注者:横浜市、(財)三渓園保勝会
監修者:神奈川大学教授 西和夫
調査・文化財指導:(財)文化財建造物保存技術協会
調査・復原設計・監理:株式会社マヌ都市建築研究所
実施設計監理:有限会社大江建築アトリエ
施工者:株式会社大林組
木工事施工:株式会社安井杢(京都)
竣工:平成12年10月